地域活性請負人の真のミッションは意識改革

長崎県壱岐市では、中小企業の売上アップと創業の支援を通じ、島全体の活性化に中心的な役割を果たしてくれる人を募集しているそうです。

『「月額100万円を支給します」 長崎県壱岐市が募集するお仕事の内容は?』
http://www.j-cast.com/trend/2016/11/17283558.html

記事にはf-Biz、OKa-Bizといった支援センターの記載がありましたが、宮崎県日南市の「地域再生請負人」など、地域の産業や商店街を活性化させるため、現地としては破格の報酬で「外」から優秀な人材を招聘するという例が最近増えてますね。

活性化に悩んでいる地域が多数あり、みなさん、実績のでた事例を参考にしようというところでしょうか。

壱岐市の件に限って言うと、事案としては面白そうです。記事によると離島はハンデを背負っているということですが、地域の紹介や事業などをざっとサイトでみたところ、造船や醸造の技術も良いネタですが、島の活性化の大きなヒントは実は「離島」なのではないかと感じました。まあ、ちゃんと現地に行って、見て、話しを聞いてみないと何とも言えませんが。

それにしても、外部から人材を招聘して地域活性をお願いするというやり方、成功事例がいくつかありますが、失敗例はそれ以上に多いので気になります。例えば、外部の人が地域の方々に信頼されなかったために、そもそも話に耳を貸してもらうことが最後までできなかったケース。受け入れてはもらったが、周囲は言われたことだけをやって上手くいかないと「ほらやっぱりダメだった」と責任を取らされるケース。

どんなに良い解決策があったとしても、聞いてもらえなければ始まりませんし、言われてやらされてやっている範囲でも事は上手くいきません。ちょっと乱暴な例ですが、言われて嫌々やる勉強と、何とか合格したいと自分で思って自らやる勉強、後者のほうがより結果に結びつきそうに思えますよね。

壱岐市の募集ページにも「コーチングを重視」とありますが、成功のカギは、地域の人にどれだけ「自分事」として問題を認識してもらえるかにあります。そして、答えを優秀な人材(請負人)から貰うのではなく、自分たちの内にあるものを答え・原動力として、自ら動くようになること。

「外からきた奴がどれほどのもんだか」「またどうせダメなのに金ばっかかけて」と思っている人は少なからずいます(もちろん、すべての人がそうではありませんが)。そういう人たちに話を聞いてもらえる程に信用してもらい、意識改革を起こしていくのが請負人の本当のミッションです。

人の意識を変えるというのがどれほど大変なことか。その難易度と、実績を出すまでの期限1年という期限、実現までの肉体的・精神的な道のりを思うと、1,200万という報酬は決して破格なものとは思えません。

日本には素晴らしい人材が多数います。日南市の地域再生請負人のような素晴らしい請負人が現れ、この難しいミッションはきっとクリアされることでしょう。長崎県壱岐市が活性化していく様子を注視していきたいと思います。

<参考>

『壱岐市産業支援センター・Iki-Biz センター長 大募集!!』
http://www.city.iki.nagasaki.jp/modules/policy/index.php

『宮崎県日南市「地域再生請負人」の仕掛け』
http://greenz.jp/2016/05/31/nichinan_shutter_saisei/

秋月昭彦

中小企業経営者の「誰に相談したらいいのだろう」をサポートします。

0コメント

  • 1000 / 1000